人間は二進数の夢をみるか?(移行)

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2023/06/21

@konoe_akitoshiです.

今日,「BladeRunner」という映画を見ました.SF映画の金字塔とも言われているので知っている人も多いかもしれません.この映画の原作はPhilip K. Dick「Do Androids Dream of Electric Sheep?(アンドロイドは電気羊の夢を見るか?)」です.最近ではAmazonOriginalで高い城の男が実写化されていました.まあ,実写としてはいまいちでしたが.

「BladeRunner」については非常によくできた映画だなと思いました.「高い城の男」は非常にステレオタイプな日本の描かれ方だったので,それに比べステレオタイプな日本が出てこないという点で見てて気分の良い映画でした.

まあ,映画自体の感想,つまり前置きはここまでにします.

なぜこの映画を今日見たのかという話をしましょう.

なぜ見たのか?それは,この映画の主題が自分の”夢”に関わっていると思ったからです.

先日,某.jrの提案書を書きました.(まあ,一次予選で落ちてしまいましたが)その提案書の最後の項目,「自己アピール」のところにこんなことを書きました.

追記:サイエンスキャッスル研究費THK賞2021に採択されました.

ーー以下抜粋ーー

未踏ジュニアはその漢字の通り「未だに誰も踏み込んだことのないことにチャレ ンジする人」を求めているのだと思います.私は今までThinkPadのデザインをさ れた工業デザイナーであるリチャード・サッパー氏の「他人と違うものではな く,自分にしかできないものをつくる」という言葉を胸においてロボットを作っ てきました.今回のプロジェクトについても,前例のない,自分だからこそでき る発想であると自信を持って言えます. 私は小学4年の頃からロボットを作ってきました.最初の出会いは「子供の理科離 れをなくす会」の体験教室の案内チラシが小学校で配られたことでした.全校に 配布されたのですが参加したのはたった2人でした.今から思えばロボットをやる 子供は一学年に一人くらい,100人に一人の割合だなと凄く思います.その教室 で初めて「ロボカップ標準問題」を聞いて,言葉に表しようのない「ロマン」を 感じ,ロボカップという精神に引き込まれて参加するようになりました.それか ら今までやってきましたが,全く勝つことができずに悔しくて泣いたこともあり ました.高校に入るまではチームメイトを探すのにも苦労しました.それでも諦 めずにやってきて,良いチームメイトにも恵まれ,全国準優勝という結果も勝ち 取った今,私が気付いたのは,「ロボカップ標準問題」が解決されるということ は,人とロボットが共存できる社会になったことを表しているのだということで した.そして,自分はそれを目指して今までやってきたのだということでした. 「robot」とは,チェコ語の「robota(強制労働)」とスロバキア語の「robotnik(労 働者)」からつくられた造語です.作家のカレル・チャペックによる戯曲 『R.U.R』に,人間より効率的かつ安価に労働を行える画期的な存在としてロボッ トが初めて描かれたことはよく知られています.では,ロボットとは人間を支え るための労働力でしょうか?私はそうは思いません.もちろん,最初はそうだっ ただろうし,今でも人間が入っていくことのできない危険な場所で労働するロボ ットはいます.でも,それは強制労働ではなくロボットにしかできない役割分担 だと思います.ロボットという言葉が生まれてから100年が経ち,多くのロボッ トが開発されてきました.近年は機械学習を活用して案内や見守りをするロボッ トが生まれ,テレポーテーションアバターロボット(遠隔操作分身ロボット)を 使って不登校や入院児童が友達や先生のいる学校生活に自宅や病院から参加する こともできるようになりました.もはや,ロボットは単なる労働者ではありません.アバターロボットで授業に参加する子供たちにとっては,まさに自分の分身 だと言えるのではないでしょうか. 私の夢はロボットと人間が共存する社会を創ることです. それは私にとっては 「ロボットに何か仕事をさせる」という概念がなくなることを意味しています. といっても,SF映画の「Bicentennial Man-邦題:アンドリューNDR114」のよう にロボットが人間になっていこうとする世界ではありません.ロボットは機械の ままでもいいのです.その機械であるロボットが違和感なく我々の生活に溶け込 み,そのことで人間が成長できる,そんな関係を築けるような社会を目指したい と思っています.しかし,それは数年や数十年で達成できるようなものではな く,ロボットというものを扱うようになった我々が,目指し続けていくべきもの のようにも感じています. 世界初の感情認識パーソナルロボットPepperが世に出た時,一躍脚光を浴びまし た.私の近所の観光施設でも最初はPepperに人が集まっていましたが,だんだん そういう光景を見なくなりました.それから3年,「Pepper君さようなら 8割超 がもういらない」という見出しの記事があり,8割の会社が契約更新をしなかった と書かれています.「Pepperは失敗だったのか」とも書かれ,これらを読むとブ ームが去ってすたれたような印象になります.確かに飽きられて見向きもされな くなった所もあるでしょうし,Pepperにできる機能が少なすぎ,スマホの方が優 秀になってしまったから不要になったという理由もあると思います.Pepperの導 入で唯一成功していると言われていたはま寿司の店頭からも,最近Pepperが消え たという記事がありました.「はま寿司・Pepper」というワードで検索すると, 「ほんとにPepper君がいなくなってた」「店員さんに聞いたら退職したと言われ て,新しい受付機が置かれていた」「Pepper君のいないはま寿司なんて…」など の書き込みがありました.私は「Pepper君さようなら…もういらない」とか「失 敗」という見出しをつけるライターさんというのは,どこかでロボットなんて3年 程度で飽きられる,ブームが去ったらこんなものだという前提で記事を書いてい るのではないかという気がします. Pepperの感情エンジンを開発した東京大学 の光吉俊二特任准教授は「自分で判断するので,人間と同じように,間違いやミ スも出てくると想定されます.ロボットだからって完璧じゃないんです.人工知 能は人間にとって代わろうとするみたいな怖いイメージがあるかもしれません が,そうではなく,感情を持ち人とコミュニケーションすることで少しずつ成長 していくものなんです.言ってしまえば,人間が一人増えるみたいなものです ね.この研究を進めることで,人間と友達になれるロボットを開発できると考えています.」と言っています.Pepper君が失敗だったと考える人は,最初からロ ボットが人間と友達になれると思っていなかったのだと思います. 私は,Pepperは失敗ではないと思います.人が寄って来なくなったということ は,ある意味成功なのではないかと思うのです.もの珍しさで寄ってきた人がい なくなって,ロボットがそこにいることが普通の光景になっているなら,それは 自分が思い描く人とロボットの共存への小さな一歩だと思います.Pepperという ひとつのステップがあって,そこからまた進化していくと思います.人間関係に おいても,自分の気が付かないところで他人に助けられているということがある ように,ロボットが,普段はそこにいるのが当たり前になっているから気が付か ないけど,何かの助けになっているという存在であればいいと思っています.そ れが私の考える「人とロボットの共存」なのです. そこにいることそのものに価値があるというのが人間の存在意義だと思います. 同じように,ロボットも「働くから」,「人の代わりに役にたつから」価値があ るのではありません.普通にそこにいることに価値があり,私たちに必要な存在 だと私は思っています.人間もロボットも同じ価値なのです.1920年に「労働」 という言葉を当てはめられてしまったロボットにしてみれば,この語源は不本意 かもしれません.でも,その言葉が生まれてから100年の間,多くの人がSF小説 やマンガ,アニメというツールを使うことで魅力的な「ロボット」をたくさん生 み出してきました.確実にこの100年で人間の意識は変わってきたのです. 私は自分のロボットに対する愛,情熱は誰にも負けないと思っています.しか し,私が目指すロボットを作るヒントは,実はロボット以外のところにあるよう な気がしています.自分が全然気が付かなかった分野に答えがあり,ある日,そ れらの歯車がかみ合って,新しい自分にしかできないロボットができるのだと思 っています.私の目標は人と一緒に成長していけるロボットを創り出すことで す.エモロボを作ることは私の大きな目標のための第一歩になると考えていま す.まだゴールに達するのは難しいでしょうが,食と感情という異なる分野を融 合させたこのプロジェクトを実現させることで,私は自分自身の夢に近づこうと思います.

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少し長くなりましたが,自分の夢はロボットが人間と共存すること.ある意味ロボットが”ロボット”でなくなることなのです.

そしてこの映画,厳密には原作である小説の世界が自分の理想としている世界であり,そのような世界での”問題”がテーマなのです.実際原作の中のオペラ歌手に対する操作の際は主人公自身が自分はアンドロイドなのかわからなくなるというシーンがあります.

こうなることはある意味僕のゴールです.

まあ,結論は頑張ってロボット開発しますってことですね(笑).

もうちょっとこのネタは温めて「・続」を書きますわ.

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